時は平安末期。

 親族たちの裏切りによって島流しにされた崇徳院は、それでも世の為に祈りを捧げ続けていた。しかし、この世の平和をただ願い、自らの血でしたためた写経を「呪いの書」と突き返れた瞬間、民を思う深い愛情はこの世への恨みと反転し、崇徳院は鬼へと姿を変えてしまった。
たった一人、最後まで崇徳院を慕い続けた朝霧を斬り捨てて・・・。

 同じころ、木曽義仲と源義経が最後の決戦を迎えていた。義経軍に圧されて敗北が確実となった義仲は、息子である義基を朝比奈重勝と神山喜八郎、高梨源太に託して逃す。深手を負った若殿(義基)を背負い、4人は京の朱雀門へと落ち延びていった。

 戦さと政治に翻弄され混沌とした京の都では、陰陽師の黒木光雲が都人たちの信頼を集めていた。光雲は都人たちの病いを治し、食べ物を分け与え、苦労を労っていた。また朝廷にも出入りしてはお気楽な公家たちの相手をし、政治にも口を出していた。そもそも、後白河法皇を操って義仲と義経を争わせたのも光雲であった。


 物語が進むにつれて少しずつ明らかになる光雲の真実とは…。