■「ぬばたまの淵」 2011年作品に懸ける想い■

     今年で5回目の再演を迎える「ぬばたまの淵」。
    演劇集団アトリエッジの真骨頂である、ROCKで魅せる時代劇です。
     本作は小劇場での公演を繰り返す中で人気を獲得し、2011年秋の公演はアトリエッジの最年少俳優:布川隼汰(元シブがき隊ふっくんの長男)を座長に、由緒ある「俳優座劇場」での公演となりました。
     
     物語の鍵を握る「鬼」の存在を、人間が創り出した負の遺産の象徴として描きたいという想いから、今年、このタイミングでの公演となりました。

     大地震という天災の後に炙り出された数々の人災をしっかりと受け止め、それでも人間は素晴らしいと実感していただき、希望を持って生きようと思ってもらえる作品にしたいと考えております。

     主人公である木曽義基(布川隼汰)と父親の木曽義仲(渡辺裕之)の親子の情、そして木曽家存続のために命を賭けて義基を守る神山喜八郎と朝比奈重勝の3人の主従を超えた友情、更に義仲に人生の全てを捧げた今井兼平と巴御前の魂の強さは、人を信じることができず「鬼」と化した黒木光雲の心にも一筋の光を灯らせます。

     人間には闇の面もあるけれど、強い光は闇をも飲み込むというメッセージを、目にも楽しく感じてもらえるよう日本舞踊家でもある佐藤伸之が妖艶で迫力のある演出を手がけます。

     「人を信じる」心を、最高のキャストとスタッフで観客の皆様にお届けしたいとの気持ちで臨みます。