メコン川の魚の絵がロゴマークになっているNGO団体。
沢山のNGO団体の事務所が存在している、上野のとあるビルの一室に今回の取材先、メコン・ウォッチがあった。パーテーションで仕切られた奥では、違う団体が忙しそうに活動をしていた。どの階も同じようで、まさにNGOビルである。
 主な活動は、メコン川流域国にたいしての、情報収集、政策研究、政策提言などである。
簡単に言うなれば、支援をしている側と支援が届いている側の認識の違いを埋めていく役割を行っている。現地のニーズに答えていくといっても、本当に必要なものはなにか?難しい判断である。例えば、大きな道路やダムを建設して行くことが現地の人のためになるのか?大きな枠組みの中では、将来、生活の発展につながっていくのかもしれない。しかし、道路が出来ることによって、長年生活をしていた人が立ち退かなければならなかったり、運転の技術が伴わなくて事故が多くなってしまったりと色々な負の要因は考えられる。小さな犠牲はしょうがないものなのであろう?新たな支援によって起こってくる弊害を一番感じ取れるのは現地の人々である。現地の生の声を聞いて、問題定義をし、政策提言を行っているメコン・ウォッチ。
 今回お話を伺った、後藤歩さん、東智美さんは、「メコン・ウォッチの活動は通訳の役割のようなものである」とおっしゃっていた。
外側からは見えないものは沢山ある。支援と言う名の先進国のエゴになってもいけない。
出来る限り、マイナスの要因を排除して行くために働きかけをしている。
今回のメコン・ウォッチのような活動を行っている団体は数少ないという。
増え続けているNGOの団体同様、しっかりとした2ヶ国間の通訳の出来る団体も必要であろう。

メコン河の支流ムン川の漁師と世界銀行の融資によって1994年に作られたパクムンダム。ダムの完成後、豊かな漁場だったムン川で採れる魚は激減した。住民たちはダムの水門解放を求め続けている。 ラムタコン揚水式発電所(タイ)の工事期間中に生まれ、発達障害を持つ子ども。化学物質の混じった粉塵が降りそそいだことや爆音によるストレスによって、村人は今も健康被害に苦しんでいる。発電所は世界銀行と日本の国際協力銀行(JBIC)の融資によって作られた。
ラオス・ナムトゥン2ダムの水没予定地から切り出された木材をタイに運ぶトラック。筍などの林産物を採って生活してきた人々は生活の糧を失った。今年、世界銀行とアジア開発銀行(ADB)はプロジェクトを支援することを決定した。 カンボジア・トンレサップ湖の水上で暮らす人々。自然の宝庫として「カンボジアの心臓」と呼ばれるトンレサップ湖では近年、、水質汚染、浸水林の伐採、魚の乱獲などの環境破壊が進み、人々の生活が脅かされている。